食農連携マニュアル

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【食農連携マニュアル】ホームページとは
 この食農連携Webサイトは、公的研究機関で開発した新品種・新技術を活用して、農業者や農業団体、加工業者、流通業者、小売業者等の各機関相互間の連携を促進し、共同での商品開発や販路開拓を行い、最終的には地域農業活性化や地域再生を目指している方(農業者や農業団体等の推進者、プランナー・コーディネーター等の支援者)のために作成しました。
《《 まずは、右上のサイトマップに移動し、ご興味がある項目をクリックして、ご参照ください 》》
 私ども農研機構は、新品種や新技術の開発を通して、新商品開発や産地づくりに素材を提供するとともに、各機関の連携を促進し、地域農業の6次産業化を通じて、地域農業活性化や地域再生を支援しています。地域資源は多様です。連携の形態も多様です。地域再生の道筋も多様です。こうすれば成功するという王道はありませんが、成功の確度(確率)を上げることはできます。地域の推進者の方は、皆様の地域のおかれた状況や地域ビジョンに応じて、以下のページから6次産業化や地域農業活性化のヒントを獲得し、実践してください。また、プランナー・コーディネーターの方はチェックリストとしてご利用ください。
 なお、本マニュアルは、新品種・新技術の実証試験および地域の優秀な経営者からのヒアリングをもとにしています。刻々と変化している経営環境の中で、皆様の実践を反映して随時改訂していく予定ですので、どしどしご意見・ご要望をお寄せ下さい。
★★このホームページは、2016年4月以降、国立研究開発法人 農業・食品産業技術総合研究機構 食農ビジネス推進センターが運営しています★★

Ⅰ.はじめに(食農連携をすすめるために)

Ⅰ.はじめに

 成功している農商工連携体、6次産業化事業体では、連携や多角化の程度が高いこと、新技術を導入していること、地域に競合他社を含めた関連事業体が集積していることがみられます。また、成功している経営者の多くは、最初から顧客志向のマーケティングの視点を持ち、主体的に商品開発、営業、販売に取り組んでいます。そして、継続的な商品開発と経営革新によって地域の所得向上と雇用創出を実現し、最終的には地域再生を目指しています。そのため、新品種・新技術を核とした6次産業化による経営の確立を目指している方も、地域農業活性化や地域再生を意識して、仲間づくり、商品づくり、産地づくり、地域づくりを通したロードマップ(工程表)を見定めてから取り組みを始めることをおすすめします。
 企業の方は、主に農業分野との商慣行や考え方の違いを認識するために、まずは十分にコミュニケーションを行うことが重要です。そして、お互いの経営資源(ヒト・モノ・カネ・情報のなどの経営を行う上で必要とされる要素)やナレッジ(知)が補完できる連携を目指します。また、プランナー・コーディネーターの方は、ご自身の業務について、見落としている項目が無いかを検証するチェックリストとしてお役立てください。

Ⅱ.仲間づくり(産学コンソーシアムの形成)

Ⅱ.仲間づくり

 最初に、新品種・新技術に関する情報の検索を行います。次に、地域資源を勘案し、新品種・新技術の候補を選定します。そして、各研究機関の産学連携窓口を通じて、担当研究者に接触し、さらに詳しい情報やサンプルを入手します。新品種・新技術の導入は、試作や試用などが必要です。ここまでは、従来から行われてきましたが、試作した農産物や商品の売り先がなければ、新品種・新技術は定着しません。そこで、生産から小売までの各事業者を取り込んだ緩やかな連携体(コンソーシアム)を形成して、情報交換や実証試験、共同の商品開発を実施します。そのコンソーシアムの中で、成立しそうな事業について、事業連携体を形成していきます。なお、そのとき、事業の権利関係について明確にしておきます。例えば、開発した商品に関する権利関係と利益配分の取り決めです。
 また、こうした取り組みを行うためには、取引先との密な情報交換と意思疎通が必要です。相互依存度を高めていくことや資本関係を持つことで、取引関係が強化され、さらに、経営統合に進むケースもありますが、それぞれのメリット、デメリットを確認しながら提携関係を構築していきます。

Ⅲ.商品づくり(新品種・新技術の活用)

Ⅲ.商品づくり

 新品種・新技術を利用した新商品開発に取り組むためには、新品種・新技術の特徴を把握すること、自らの地域の特徴を把握すること、連携先との関係を構築することなど、基本的なことを最初に実行することが重要です。また、新品種、新技術の導入にはリスクが伴いますので、自経営や地域に適しているか、市場ニーズに合致しているかを、栽培試験や加工適性試験、商品化試験、流通試験、貯蔵試験、製品テスト、販売試験などの実証試験を通じて確認する必要があります。さらに、開発前期、開発中期、開発後期におけるマーケティング・リサーチ(市場調査)と、初期の販売先の確保、および顧客拡大のための営業・広報活動は重要です。特に、その商品を欲しいと思っている顧客がどこにどれくらい存在するかを把握し、顧客に商品が届けられるように販売先を確保します。
 これらの手順を確実に実行しても必ず成功するわけではありません。リスクをとりながら、かつ、リスクを分散して、粘り強く事業に取り組みます。そして、一つの商品が完成したら終わりではありません。様々な機関や企業と連携しながら、持続的に商品が開発できる仕組みを構築していきます。

Ⅳ.産地づくり(新産地の形成)

Ⅳ.産地づくり

 法人化した生産者や地元企業等が、新品種・新技術を利用した商品づくりを実施するためには、安定した原料農産物の調達が重要になります。農産物の新産地を形成するためには、産地形成を推進する強力なリーダーシップが必要です。生産者の参入を促進するため、初期投資額の低減と資金調達、導入当初の利益確保とリスク低減、需要予測と需要創出、技術水準の向上策、中長期の産地計画や経営計画の設定など、様々な方策を準備し、主体的に地域を牽引する必要があります。そして、地域内での信用を得るため、一定の成果をみせるとともに、地域を意識した地道な活動が重要となります。
 これを農業生産者・産地側からみると、加工用途や業務用途などへの対応と同様に、まずは数量、品質、出荷時期に関する安定生産が重要になります。加えて加工・業務用途に適したサイズの生産が求められ、低コスト生産のための技術導入も必要でしょう。どのように加工され、どのような商品になり、どのような顧客に販売されるかを常に把握し、それらをイメージしながら顧客の要求に応えていきます。加えて、契約は文書で結び、それを遵守するとともに、代金回収や生産量増減のリスクを回避したり、軽減する工夫が必要です。

Ⅴ.地域づくり(地域ブランド化にむけて)

Ⅴ.地域づくり

 ブランドは一朝一夕には確立しません。顧客の頭の中に良いイメージを持ってもらい、その地域や地域の商品を選択してもらうためには、長い年月が必要になります。まず、商品ブランドを確立し、企業ブランドを確立し、地域全体として地域ブランドの確立を目指します。その過程で、海外市場を視野に入れることも一つの方向です。海外で評価されることによって、国内での評価が高まることは良くあることです。
 すでに、地域に著名な地域資源がある場合は、それを地域ブランドの核としてブランド化をすすめることになりますが、そうでない場合は、地域資源と新品種、新技術を融合させてブランド化を目指します。その基本は、教科書通りのマーケティングおよび商品開発を実施することです。そして、ブランドとは顧客の頭の中に形成され、それが実際の購買行動と結びつく必要があるため、商品の質、信頼の確立、識別のための印(ブランド名、マーク等)が必須です。ブランドが確立されても、顧客を裏切れば簡単に信頼は失われます。信頼を取り返すために膨大な時間と努力が必要になるため、地道にブランドを管理していきます。

参考情報

参考情報

 6次産業化等を実施するにあたっては、商品の品質と信頼の確保が必要です。特に、小売企業などの取引先からは、最初に製造工程や商品の保管に関する衛生管理項目のチェックを受けますので、取り組み当初から、衛生管理手法の導入をお勧めします。例えば、公的機関の研修制度や、各種認証制度が利用できます。HACCPやGAP、ISO9000、ISO14000などですが、これらの認証を受けることも取引における信用力を増すためには必要になります。自らの取り組みを見える化するフード・コミュニケーション・プロジェクト(FCP)にも是非取り組んでください。これらの詳細は、各省庁や団体のWebサイトで確認できますのでご参照下さい。
 また、各省庁や関連団体から各種支援が受けられます。資金に関しては、各種制度資金や農林漁業成長産業化ファンドなどが利用できますので、一度は検討されることをおすすめします。